883のトランスミッションを下ろした。
購入して1年経たずしてプライマリーオープン。
購入後走行4000kmってところ。ODO 13000km。
僕の乗り方は短距離通勤(5~7km)に使っているのでシビアコンディションに該当すると思ってる。
[1速カコン]
[1速ガッチャン]
[ First gear slipping ]
[ 1st gear skipping ]…etc
と様々な呼称のある故障。
いわゆるギアの入り直し現象が起きてたんで患部であるトランスミッションへアクセスするついでに色々チェック。
工程も書き残しとこう。
フロントタイヤが浮く感じで少しジャッキアップ→1速へ入れとく
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バッテリーのマイナス外す
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ミッションオイル抜く→プライマリーのドレンボルト取り外し → 鉄粉と匂いのチェック
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クラッチケーブル緩める(フレームのクランプからも外す)
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フットレスト取り外し
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シフトレバーへ取り付け位置のマーキングして取り外し
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抜いたのオイルの状態をチェック。
鉄粉の量
ギアなどの破損したカケラ
ステーターコイルのリークなどによる焦げた匂い
抜いたオイルの量もチェック。(次回の参考にする為。今回は忘れてた)
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ダービーカバー取り外し→スプリングのチェック
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アジャストメントスクリュー緩めてナットを外す
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クラッチワイヤーエンド部とクラッチランプを分離→クラッチランプ関連取り外し
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クラッチランプのリテーニングリングを外すして廃棄→ランプの溝とボールの摩耗チェック
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クラッチワイヤー取り外し→Oリングを廃棄→潤滑して放置
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プライマリーチェーンテンショナーのボルトを緩める
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プライマリーカバー取り外し→カバーのボルトは長さが2種類あるので保管注意。(後日にプライマリーメンテナンスボード製作しました)
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シフトレバーが通るシールリング取り外し→廃棄
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プライマリーチェーンテンショナーのチェック
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SST使ってクラッチのスプリングダイアフラムを圧縮→リテーニングリング外す→アジャストメントスクリューの付いたユニットごと外れる。
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アジャストメントスクリューとベアリングのチェック(このベアリングは前後左右に引っ張られる構造上よく壊れる箇所( NTN 6200 互換 ))
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スプリングダイアフラムのチェック(純正に戻した 2021/3)
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フリクションプレートとスプリングプレートとスチールプレートをクラッチシェルから取り出す。
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フリクションプレート(クラッチパック)の厚みと歪み、摩耗のチェック【厚さ】
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スチールプレートの厚みや歪みをチェック
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スプリングプレートは抜いて保管(2021/3~ ODO 13000km)
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スチールプレート2枚(コイツが後日にウニョウニョする主因)、フリクションプレート1枚を追加してミッションオイルに漬けとく。フリクション・スチールプレートを合わせた総厚みは32.7mm。
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SSTを使って1次ドライブを固定。
ステーター側のナットをハンダゴテで加熱→ 1-1/8ディープソケット+ブレーカーバー600mm+フロアジャッキの鉄パイプ差し込んで延長して緩める。(ロックタイト赤が付いてるから硬い)
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1速になっているリアタイヤの接地確認。シートを乗せて跨る→リアブレーキ踏む→1-3/16ソケット +ブレーカーバーでクラッチハブのナットを逆転方向へ回して緩める。(クラッチハブナットは逆ネジ、ここもロックタイト赤付いてる。できれば加熱したいけどアクロバティックな姿勢過ぎて無理)
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1次ドライブをプライマリーチェーンごと外す。ステーター側にはマグネットが付いているので少し外しにくい。
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ステーターコイルチェック(配線のグロメットからオイル漏れてたけどまー大丈夫やろうってことで無視、ステーター17年物。そのうち交換(固定してる小さなボルトもね)しよう)
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ディティントプレートのリテーニングリング(2021/3時点で純正は廃盤)を外して廃棄するねんけどトランスミッション下ろしたらシフトチェンジして遊ぶつもりだったので一応保管。ディティントプレートを外す。
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アクセスドア下側のスプリングとシフターアームの細いスプリングを外しておく
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シフターアームを固定する2箇所のロックナットを緩める。
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リアドライブベルト緩める( アジャスター回した回数控えとく )
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アクセスドアボルトを外す(ロックタイト青が付いてる)
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ミッションを引き抜く(ここでディティントプレートを廃棄予定のリテーニングリングで仮止め→ディティントプレートとシャフトをガチャガチャ回すと1-N-2-3-4-5にシフトしていく動きが見れて遊べる。あんまわからんかったけど。何となく「あー、なるほどねー。」ってくらいはわかる)
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ギアをバラすので万力に緩衝材をかましてメインシャフトを挟んで固定。
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2×20mmコッターピンを抜いて廃棄→マグネットでシフタードラムの溝に入っているピンを抜く。3箇所。
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シフタードラム固定プレートを外す→シフタードラムを引き抜く
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シフターフォークを取り外す→各部に異常摩耗が無いかどうかをチェック。(真ん中のシフターフォークに異常摩耗アリ 2021/03)
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ゴミ袋をテープで固定→M(Main shaft)とC(Counter shaft)のラインを描く
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向きと位置、ワッシャーがギアへ貼いてたりするのに気を付けながらリテーニングリング(廃棄)・ワッシャー・ニードルベアリング・各ギアを順番に外してゴミ袋に並べて行く。(Andrews 299110を入れ替え)
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組み付けは逆の手順でサービスマニュアルとパーツリストを確認しながら廃棄部品は交換しつつ各部トルクレンチで締め上げ。
・スプリングダイアフラムのコンプレッサー
・プライマリーをロックするバー
・磁石(直径3mmくらい)
・加熱器具(ハンダゴテかヒートガン)
・2.9mmのドリルビット
・270Nmくらいのトルクレンチ
・103Nmくらいの逆転トルクレンチ
・1次ドライブの着脱用にデカい六角ソケット2種類
・ドライブベルトのテンションチェックする工具
が特殊かなぁ。って具合。
ロックタイトの硬化待ちをする場合(っても嫌気性なのでそのまま組んでも問題ないやろけど)、日帰りでは無理。
ギアの入り直しが起きた直接的な原因は短距離の繰り返しと前オーナーが入れてたライトクラッチ調整不足によるクラッチのプライマリーケース干渉と引きずり → シフトチェンジを繰り返した結果かと。暖気の際に無理やり1速へ蹴り込んで走ってたのかもしれない。ドックの角には打痕のような跡もちらほら。
いずれにせよスポーツスターを短距離通勤で使うならプライマリーの中身、特にシフターやクラッチ、ミッションあたり仲良くなっておかないとね。
クラッチの離し方が構造上、メンテナンスフリーでいけるはずもない作り。
実際のところプライマリー開けても、メンテナンスしやすい組み方がしてあるし。
SMとPLを見ながら再利用不可のパーツを発注、そして工具さえあれば大丈夫。通勤使いやからショップへ預けて納期未定ってなった時の時間的なロスはかなり減らせる。
っても自分でどうしようもなくなったらショップへGOする。
自分の気に入った単車に乗る以上、劣化や故障とはしっかり向き合っていかないとこっちが納得いかんくなるしね。
まー、自分で自分の単車壊す可能性も否めないけど。それは勉強代と思って割り切る。