父と子。
父の子とその子。
僕の祖父は単車乗りだったらしい。
僕の父も単車乗りだ。
僕も単車に乗っている。
僕の子も単車に乗っている。
16歳の時に初めて運転したJazz50。
「公道ってこんなにたくさんルールあるんか!絶対ムリ!」
クラッチ操作、ギアシフト、アクセルワーク、速度、前後のブレーキバランス、カーブのウエイトバランス。ウインカーの出すタイミング。
その上に公道を走る様々なルールと危険予測。
「ムッズ!!!」ってさ。
誰もが少なからず似た感覚をもったんじゃないかと思います。
そこから23年後のお話。
初めて父と単車で走りに行きました。
急遽展示会が無くなった為、前日に決定。高野山を抜けて和歌山の龍神、そして有田から帰阪。
お互いに長いこと運転してきてるのにお互いの運転の事を知らない奇妙な感じ。
互いにナビは無い。
インカムも無し。
地図を開く。(お互いスマホ持ってます)

頭に入れる。(休む場所を覚えて道路はだいたい覚えとくのがコツ)
あとは走る。
ひたすら走る。
コーヒー飲んで休む。煙草吸う。
また走る。
温泉入る。ジュース飲む。煙草吸う。
走る。
メシ食う。コーヒー飲む。煙草吸う。
走る走る走る帰る。
後日、父から出た言葉。
「幸せで死んでもええと思ったわー。」

まだ死んでもらったら困るけど。気持ちは分かる。
このツーリングはきっとずっと頭に残るイベントだな。って感じる。
これまでにも時間を作ればお互いにツーリングへ行くことはできたと思う。
けど2021/4/9がお互いにとって一番良かったタイミングだったんだろうなぁ。って思いました。
CBR1000RRとXL883R。
同じ単車というカテゴリのなかでもかなり違う次元で仕上がったこの2車種。
まるで僕と父とようで【単車を見れば人の成りが分かる】なんてよく言ったモンだと思います。
あと【運転を見れば性格が分かる】ってのもわりと共感。ペースはゆったりマイペースです。
成りは違いますが、性格は似ている部分を否めません。まー、親子ですし。そんなモンなのかな。

パパサンにしても父とのツーリングにしても20年以上掛かったけどきっとこれが最短距離。そして最高速度。
ナビを使わずして様々なルートが頭に入っている単車乗りとしての大先輩。まだ背中は遠い。

けど、一緒に走れるだけの大人にはなっていたって事を認識。
あ、あと実はバースト寸前で死にかけてました。

あかんね。サイドは溝がかなり残ってたんでいけるかと思ってましたが迂闊でした。
あと話は変わらないようで変わります。
無理してまで取得する必要は全くありませんが、車であれ単車であれ原付であれ【運転】する事ってとても良いと思います。
相手の事。自分の事。天気。出かける前の段取り。
色んな事が絡んでます。
一見、ややこしく感じますが公道に潜むリスクに対して想像力を働かせる行為。判断する材料集め。意思決定。そして責任。
法のもとで【自由である為に何をすべきか】が端的に詰まっています。
走るルートの選定も自由。目的地があるならばゆっくり下道で行くも良し。高速で行くのも良し。
目的地も無く走るのも全然アリです。
数日前から準備万端にする人もいれば、思い立ったが吉日って人も。千差万別。だけど交通ルールって縛りの中で【運転】する。
事故を起こすリスクは必ずあります。
そして事故は起きます。起こされます。
それらは誰にでも起き得ることで有事の際に最小限に留める技術こそが運転技術です。
毎日の通勤。たまのツーリング。何で良いけれど、安全運転するって事は【想像力の鍛錬】にとても良いと思う。
色々な景色やヒト・モノへの出会いを運んでくれます。いや、出会いに向かうのか。運転して。
そしてなにより気持ち良い。
